佐世保港の貿易動向:輸出減少と貿易赤字拡大の背景を探る
佐世保港は長崎県を代表する重要な貿易港です。令和5年の貿易統計から、佐世保の貿易構造とその変化を読み解きます。
輸出が減少、輸入は乱高下
令和5年の佐世保税関支署管内の貿易額は以下の通りです:
- 輸出:1,018億3,802万円
- 輸入:3,125億1,400万円
- 貿易収支:▲2,106億7,598万円の赤字
輸出は5年連続で減少
佐世保の輸出額は、令和元年の1,428億7,766万円から令和5年には1,018億3,802万円へと、28.7%減少しました。特に令和2年から3年にかけて大きく減少し、その後も回復の兆しが見えません。
コロナ禍による世界的な物流の停滞、半導体不足による製造業への影響、さらには円安による輸出価格競争力の変化など、複合的な要因が考えられます。
輸入は令和4年に急増、その後減少
一方、輸入額は大きく変動しています。令和元年の1,251億5,699万円から、令和4年には5,333億3,255万円と4.3倍に急増しましたが、令和5年には3,125億1,400万円へと41.4%減少しました。
令和4年の輸入急増は、エネルギー価格の高騰や、コロナ後の需要回復による原材料輸入の増加が影響していると考えられます。
主な輸出品目:機械類が中心
令和5年の輸出品目を見ると、「機械類及び輸送用機器」が圧倒的なシェアを占めています。これは佐世保が造船や機械工業の拠点であることを反映しています。
主な輸入品目:鉱物性燃料が最大
輸入では「鉱物性燃料」が大きな割合を占めており、エネルギー資源の輸入港としての役割も担っています。また、「穀物及び同調整品」も主要な輸入品目で、令和5年には84億7,663万円が輸入されました。
輸出の減少と輸入の増加(特に高価格のエネルギー資源)により、貿易赤字が拡大しています。今後は、輸出競争力の強化と、付加価値の高い製品の輸出拡大が課題となるでしょう。
アジアが最大の貿易相手
地域別では、アジアが最大の貿易相手です。輸出では306億5,570万円(全体の30.1%)、輸入では423億6,097万円を占めています。
特に韓国は、輸出では7億3,667万円、輸入では123億4,585万円と、重要な貿易相手国となっています。
佐世保港が目指すべき未来
輸出の減少傾向を反転させるには、既存産業の競争力強化に加え、新たな輸出品目の開拓が必要です。また、輸入では、エネルギー価格の変動に左右されにくい貿易構造への転換が求められます。
佐世保港の地理的優位性を活かし、アジアとのゲートウェイとしての機能を強化することが、今後の発展の鍵となるでしょう。
データ出典:令和6年版佐世保市統計書(第35回)「05_商業及び貿易」
資料:総務省、経済産業省「経済センサス-活動調査」、財務省「貿易統計」、農林水産部卸売市場管理事務所
