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年間3億本超:佐世保市のたばこ消費から見る「禁煙ブーム」の実態

年間3億本超:佐世保市のたばこ消費から見る「禁煙ブーム」の実態

「禁煙ブーム」「健康志向の高まり」――そんな言葉をよく耳にしますが、佐世保市民の喫煙行動は本当に変わっているのでしょうか?たばこ税のデータから、意外な事実が浮かび上がります。

目次

5年間で減少したのはわずか4.6%

令和元年度から令和5年度までの5年間で、佐世保市のたばこ売渡本数は:

  • 令和元年度:318,897千本
  • 令和2年度:296,673千本(大幅減少)
  • 令和3年度:298,215千本(微増)
  • 令和4年度:302,354千本(増加)
  • 令和5年度:304,164千本(さらに増加)

令和元年度から令和5年度までの減少は14,733千本(4.6%減)。全国的な禁煙ブームを考えると、この数字は意外に小さいと言えるでしょう。

💡 コロナ禍の影響と回復

注目すべきは令和2年度の急減(22,224千本、7.0%減)です。これはコロナ禍による影響と考えられます:

  • 在宅勤務の増加で喫煙機会が減少
  • 健康への関心が高まった
  • 外出自粛で購入機会が減った

しかし、令和3年度以降は増加傾向に転じています。令和2年度の底から令和5年度までに7,491千本(2.5%)も回復しているのです。

「禁煙ブーム」は本当に起きているのか?

全国的な喫煙率の低下と比較すると、佐世保市のたばこ消費の減少は緩やかです。これは何を意味するのでしょうか?

考えられる要因:

  1. 喫煙者の高齢化:若い世代は吸わないが、高齢の喫煙者は継続している
  2. 1人あたりの喫煙量の増加:喫煙者数は減っても、1人が吸う量は変わらない、または増えている
  3. 加熱式たばこへのシフト:従来の紙巻きたばこから加熱式に移行している(統計には両方含まれる)
  4. 地域特性:佐世保市特有の喫煙文化や産業構造の影響

税収から見る市の財政への影響

たばこ税は市町村の重要な財源の一つです。仮にたばこ1本あたりの税金を1円と概算すると(実際はもっと複雑ですが)、令和5年度のたばこ税収入は約30億円規模になります。

これは決して無視できない金額です。人口減少で税収が減る中、たばこ税は貴重な自主財源。しかし、健康政策と税収のジレンマがここにあります。

🚬 加熱式たばこの影響

このデータには、従来の紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこ(アイコス、グロー、プルームなど)も含まれています。

全国的には紙巻きたばこから加熱式への移行が進んでいます。佐世保市でも同様の傾向があると考えられ、「たばこをやめた」のではなく「紙巻きから加熱式に変えた」人が多い可能性があります。

年間3億本超の消費が意味するもの

令和5年度の304,164千本を佐世保市の人口(約23万人)で割ると、1人あたり年間約1,322本。1日あたり3.6本の計算です。

もちろん、これは赤ちゃんから高齢者まで全員で割った数字なので実態とは異なります。仮に成人人口(約18万人)で計算し、喫煙率を20%と仮定すると、喫煙者1人あたりは年間約8,449本、1日約23本となります。

これは1日約1箱(20本入り)に相当し、全国平均とほぼ同水準です。

地域別の違いは?

残念ながら、市内の地域別データはこの統計には含まれていません。しかし、一般的に:

  • 飲食店街(四ヶ町、京町など)での購入が多い
  • 工業地帯(相浦、前畑など)での喫煙率が高い傾向
  • 郊外の住宅地では比較的低い傾向

といった地域差があると推測されます。

今後の展望:緩やかな減少か、下げ止まりか

今後のたばこ消費はどうなるでしょうか?

減少要因:

  • 若年層の喫煙率の低下
  • 健康意識の高まり
  • たばこ税の増税
  • 喫煙場所の制限強化

下げ止まり要因:

  • 高齢の喫煙者は禁煙しにくい
  • 加熱式たばこの普及で「より健康的」と認識
  • ストレス社会でのニーズ

令和3年度以降の増加傾向を見ると、少なくとも短期的には「急激な減少」は起きていません。今後も緩やかな減少または現状維持が続く可能性が高いでしょう。

📊 データが示す現実

「禁煙ブーム」という言葉からイメージされるような劇的な変化は、佐世保市のデータには表れていません。

むしろ、コロナ禍を経ても喫煙習慣は根強く残っており、特に既存の喫煙者の行動は大きく変わっていないことが分かります。

健康政策としての禁煙推進と、税収確保のバランスをどう取るか――これは佐世保市だけでなく、全国の自治体が直面する課題です。

データ出典:佐世保市統計書(令和6年版)

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