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佐世保製造業を牽引する輸送用機械器具産業:出荷額の3分の1を占める主力

佐世保製造業を牽引する輸送用機械器具産業:出荷額の3分の1を占める主力

目次

はじめに

長崎県佐世保市は、軍港としての歴史を持ち、造船業をはじめとする輸送用機械器具産業が古くから発展してきた地域です。現在でもこの産業は、佐世保市の製造業において圧倒的な存在感を示しています。本記事では、佐世保市統計書のデータから、輸送用機械器具産業がどれほど地域経済を支えているのか、その実態を詳しく分析します。

611億円
輸送用機械器具の
年間出荷額
33.4%
製造業全体に占める
出荷額シェア
2,367人
従業者数
(全体の29.8%)
60社
事業所数
(全体の24.1%)

圧倒的な存在感を示す出荷額

令和2年の佐世保市における製造業全体の製造品出荷額は1,826億円ですが、このうち輸送用機械器具産業だけで611億円を占めています。これは全体の実に33.4%に相当し、他のどの産業分野よりも圧倒的に大きな規模です。

第2位の食料品製造業が294億円(16.1%)、第3位のはん用機械器具製造業が254億円(13.9%)であることを考えると、輸送用機械器具産業の存在感がいかに大きいかがわかります。実に、第2位と第3位を合わせた金額よりも多い出荷額を、この産業単独で生み出しているのです。

注目ポイント:輸送用機械器具産業の出荷額611億円は、佐世保市製造業の3分の1を占め、地域経済の根幹を支えています。

主要産業との比較

佐世保市の製造業における主要産業を比較すると、輸送用機械器具産業の突出ぶりがより明確になります。

産業分類 事業所数 構成比 従業者数 構成比 製造品出荷額等 構成比
輸送用機械器具 60社 24.1% 2,367人 29.8% 611億円 33.4%
食料品製造業 49社 19.7% 1,767人 22.3% 294億円 16.1%
はん用機械器具 12社 4.8% 655人 8.3% 254億円 13.9%
窯業・土石製品 19社 7.6% 308人 3.9% 87億円 4.8%
鉄鋼業 5社 2.0% 200人 2.5% 83億円 4.5%
電気機械器具 7社 2.8% 622人 7.8% 71億円 3.9%

この表から、輸送用機械器具産業は事業所数、従業者数、出荷額のいずれにおいても最大であることがわかります。特に注目すべきは、事業所数の構成比24.1%に対して、出荷額の構成比が33.4%と大きく上回っている点です。これは、この産業の事業所が比較的規模が大きく、高い生産性を持っていることを示しています。

雇用の中核としての役割

輸送用機械器具産業は、佐世保市の雇用においても中核的な役割を果たしています。製造業全体の従業者数7,933人のうち、2,367人(29.8%)がこの産業に従事しており、約3人に1人がこの分野で働いている計算になります。

事業所数が60社で全体の24.1%であるのに対し、従業者数の構成比が29.8%と高いことは、1事業所あたりの平均従業者数が多いことを意味します。実際、輸送用機械器具産業の1事業所あたりの平均従業者数は約39.5人で、製造業全体の平均31.9人を大きく上回っています。これは、この産業が比較的大規模な事業所で構成されていることを示しています。

従業者1人あたりの出荷額から見る生産性

輸送用機械器具産業の従業者1人あたりの製造品出荷額を計算すると、約2,581万円となります。これは製造業全体の平均2,302万円を上回っており、比較的高い生産性を持つ産業であることがわかります。

ただし、はん用機械器具製造業の1人あたり3,881万円や、飲料・たばこ・飼料製造業の1,345万円(推定)と比較すると、産業によって大きな差があることも事実です。輸送用機械器具産業は労働集約的な側面を持ちつつも、一定の生産性を維持していると言えるでしょう。

造船と自動車関連が支える産業構造

輸送用機械器具産業には、造船業、船舶用部品製造業、自動車部品製造業などが含まれます。佐世保市は歴史的に造船業が盛んな地域であり、現在も大手造船会社や関連企業が操業しています。また、自動車部品の製造も重要な位置を占めており、これらが相まって輸送用機械器具産業全体の規模を形成しています。

この産業の発展は、単に製造業だけでなく、関連する鉄鋼業、金属製品製造業、電気機械器具製造業など、様々な産業への波及効果も生み出しています。例えば、鉄鋼業の出荷額83億円、金属製品製造業の出荷額63億円の一部は、輸送用機械器具産業への納入が占めていると考えられます。

依存度の高さがもたらすリスクと課題

輸送用機械器具産業が佐世保市の経済を大きく支えている一方で、この産業への依存度の高さは、同時にリスクも孕んでいます:

  • 景気変動の影響を受けやすい:造船業や自動車産業は世界経済の影響を強く受けるため、不況時には生産縮小や雇用調整が生じやすい。
  • 技術革新への対応:電気自動車(EV)への移行や、自動運転技術の発展など、業界全体が大きな変革期を迎えており、これへの適応が求められています。
  • 国際競争の激化:特に造船業では、韓国や中国との厳しい競争にさらされており、競争力の維持が課題となっています。
  • 産業多様化の必要性:1つの産業に依存する構造は、その産業の衰退が地域経済全体の衰退に直結するリスクがあります。

持続可能な発展に向けた展望

輸送用機械器具産業を中核としつつ、佐世保市の製造業が持続的に発展していくためには、以下のような取り組みが重要です:

  • 高付加価値化の推進:単なる量産ではなく、高度な技術を要する製品や、カスタマイズ製品への注力により、国際競争力を強化する。
  • 新技術への投資:EVや水素エネルギー、自動運転技術など、次世代の輸送機器に対応した技術開発と設備投資を進める。
  • 関連産業の育成:輸送用機械器具産業を支える部品メーカーや、新たな関連産業を育成し、産業クラスターを形成する。
  • 人材育成と確保:高度な技術を持つ人材の育成と、若い世代の雇用確保により、産業の持続性を高める。
  • 産業多様化の推進:輸送用機械器具産業以外の分野も並行して育成し、経済基盤の多様化を図る。

まとめ

佐世保市の輸送用機械器具産業は、事業所数60社、従業者数2,367人、製造品出荷額611億円という規模を誇り、市の製造業において圧倒的な存在感を示しています。この産業は、出荷額で全体の3分の1、雇用で約3割を占め、まさに佐世保市経済の屋台骨と言えます。

造船業を中心とする長い歴史と蓄積された技術、そして多数の関連企業が形成する産業クラスターは、佐世保市の大きな強みです。しかし同時に、この産業への依存度の高さは、景気変動や技術革新、国際競争といったリスクにも直結します。

今後は、輸送用機械器具産業の強みを活かしつつ、新技術への対応や高付加価値化を進めるとともに、産業の多様化も並行して推進していくことが、佐世保市の持続可能な発展には不可欠でしょう。この主力産業をさらに発展させながら、バランスの取れた産業構造を構築していくことが、これからの佐世保市に求められています。

参考資料:令和6年版 佐世保市統計書 04-a-03, 04-a-04
データ出典:佐世保市企画部政策経営課
データ年次:令和3年6月1日現在(事業所数・従業者数)、令和2年1月~12月(製造品出荷額等)
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